
去る2026年6月29日、東京商工会議所 中央支部様主催のオンラインセミナーにて、「人事・労務担当者必見!2026年 法改正対応・実務戦略セミナー ~障害者雇用・女性活躍・社保拡大から労基法大改正の展望まで~」と題した講演を行いました。
当日は55名もの多くの方にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。 ご参加いただけなかった皆様に向け、当日のセミナーのハイライトと、今年から来年にかけて押し寄せる重要な法改正のポイントをご報告いたします。
受講者アンケート:約88%の方から「参考になった」との評価
セミナー後に実施したアンケートでは、回答いただいた34名のうち、16名の方から「大変参考になった」、14名の方から「まあまあ参考になった」との評価をいただき、合わせて約88%の方にポジティブなご回答をいただくことができました。
自由記述でも、以下のような嬉しいお声を頂戴しております。
- 「2026年の法改正についてセクションごとに分けて分かり易くまとめてもらいポイントが掴みやすかったです。」
- 「最新の状況を知ることができて助かりました。」
- 「今後、法改正のある項目についての詳細や注意点などわかりやすく、大変参考になりました。」
当日は、セミナー参加の2名の方からご質問も受けましたが、両方ともいわゆるパート・有期雇用に関する同一労働同一賃金の問題に関してでした。この問題ではガイドラインの改正施行が予定されていますが、皆様のご関心の高さがうかがえました。
セミナーのハイライト:2026年は「怒涛の法改正」イヤー
今回のセミナーでお伝えした最大のメッセージは、2026年が人事・労務にとって近年まれに見る「法改正の当たり年」であるということです。月を追うごとに重要な制度変更が施行されるため、計画的な準備が不可欠です。
以下に、セミナーで解説した主な法改正のポイントを時系列でまとめました。
1. 2026年4月:女性活躍推進と高齢者の安全配慮
- 女性活躍推進情報の公表対象拡大:従業員数101人~300人の企業に対し、「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が新たに義務付けられます。早めに自社の現状データを算出し、格差の根本原因を特定する戦略的アプローチが重要です。
- 高齢者の労働災害防止(努力義務):60歳以上の労災では、1カ月以上の休業が50%を超過するというデータがあります。設備などの「ハード面」と、個人の体力に応じた配置などの「ソフト面」の対策が事業者の努力義務となります。「努力義務だから」と放置して万が一労災が発生した場合、安全配慮義務違反として多額の損害賠償責任が発生する致命的な経営リスクがある点に注意が必要です。
2. 2026年7月:障害者雇用率の引き上げ
- 法定雇用率が2.7%へ:民間企業の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられ、対象となる事業主の範囲が従業員「37.5人以上」へと拡大されます。
- 実務的な対応:ハローワークでの新規求職者は「精神障害者」の方が多くなっています。業務を集約する「切り出し」や、短時間から徐々に労働時間などを拡張する「積み上げモデル」といった手法で、社内の受け入れ態勢を整えることが求められます。
3. 2026年10月:ハラスメント対策と社会保険の適用拡大
- カスタマーハラスメント(カスハラ)対策の義務化:これが今年の重要課題の一つです。負担を現場の従業員個人に押し付けるのではなく、組織のシステム(シールド)で吸収する体制づくりが急務です。
- 社会保険の段階的適用拡大:拡大対象短時間労働者への支援が実施されます。
- 求職者等セクハラ対策の義務化:インターンシップ生や採用面接の参加者等に対するセクハラ防止措置も新たに義務付けられます。
- パート・有期雇用に関するルール改正:雇入れ時の労働条件明示事項に、正社員との「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨の記載が追加義務化されます。 同一労働同一賃金ガイドラインが改正されます。雇用管理・説明体制の適正化が図られます。
4. 2026年12月:公益通報者保護法の強化
- 対象の拡大と罰則強化:フリーランスが保護対象に追加されます。特に注意すべきは、通報後1年以内の解雇や懲戒は「通報を理由とした報復」と推定され、企業側が「処分は通報と完全に無関係である」ことを証明しなければならないという極めて重い立証責任の転換です。違法な解雇等には個人だけでなく法人にも刑事罰が科される可能性もあるため、経営陣から独立した客観的な内部通報窓口の設置を強く推奨します。
5. 2027年以降の展望:労働基準法の大改正へ
さらに先を見据えると、約40年ぶりとも言われる労働基準法の抜本的見直しが控えています。 セミナーでは、現在議論されている以下のポイントについても触れました。
- 14日以上の連続勤務の禁止(13日連勤後に必ず1日の休息挿入)
- 勤務間インターバル制度(原則11時間の休息)の義務化
- 「つながらない権利」のガイドライン策定
- 副業・兼業時の「割増賃金」計算における労働時間通算の廃止
終わりに:法改正対応は「守り」から「攻め」への経営投資
このように、2026年は人事・労務担当者様にとって息をつく暇もないほど法改正が連続します。しかし、これらを単なる「法令遵守(コンプライアンス)のコスト」と捉えるのはもったいないと考えています。
カスハラから従業員を守る体制づくりや、多様な人材が働きやすい環境を整備することは、従業員のエンゲージメントや忠誠心を高め、深刻な人手不足時代において「選ばれる企業」になるための強力な経営投資です。
当事務所では、各社の規模や業態に合わせた具体的なルール策定や就業規則の見直しなど、実務に寄り添ったサポートを行っております。「何から手をつけていいかわからない」「自社に合わせた対応方針を相談したい」という方は、初回のご相談は無料でお受けしておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
今後も、皆様の企業の持続的な成長を人事・労務の側面からしっかりとご支援してまいります。
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